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Permanent Exhibitions・常設展示 常設展示のみどころ 江戸時代は広告の宝庫だった
常設展示では、「時代の合わせ鏡 広告」をテーマに、時代と広告の関わり方を分かりやすく紹介しています。
中でも注目したいのは、閉鎖的な封建体制のもとで高度な文化を育んだ江戸時代です。
特に江戸時代の中期から後期にかけては、成熟した大衆文化と発達した商業活動が結びつき、今日の広告・販売促進活動を想わせるアイディア豊かな活動が庶民の生活を華やかに彩りました。ここでは、“近代広告前史”ともいえる、江戸時代の広告・宣伝活動についてご紹介します。
造り酒屋のシンボル「酒林(さかばやし)」
古くから作り酒屋の軒先に吊るされていた「酒林」は、杉の葉を刈り込んで作られるので「杉玉」とも呼ばれました。毎年、新酒が出来ると、新しい「酒林」を軒先に吊るして知らせたと言われています。最初は緑色ですが、時間と共に茶色になっていくので、色の状態で酒の熟成度が分かったそうです。起源は室町時代にまでさかのぼると言われていますが、身近な看板の走りといえるかもしれません。現在でも、造り酒屋の軒先に「酒林」が吊るされているのを見ることがありますが、アド・ミュージアム東京に展示されているものも、最近、制作されたものです。
 
酒林

歌舞伎に見る広告アイデア
歌舞伎は江戸の人々の夢を満たす代表的な娯楽であり、歌舞伎役者は現在の映画スターやトップタレントにも匹敵する憧れの存在でした。
当時、人々に人気のあった「役者絵」は、今日のブロマイドに相当するものですが、中には役者の似顔絵と共に商品や商店の名前が巧みに描き込まれたものもありました。
また、歌舞伎の演目の中に商品名が登場したり、幕間に役者が宣伝口上を述べたりすることもしばしばあり、歌舞伎自体が絶好の宣伝の場であったといえるでしょう。
錦絵「江戸香」「広到香」御はみがき/文政8(1825)年頃/二代豊国・画

江戸は文政年間、当時人気を博した歌舞伎役者七代目市川団十郎と岩井紫若が、歯磨「江戸香」、「広到香」の宣伝口上を述べている「役者絵」です。同時に芝居見物の御礼も述べているので、当時は実際に幕間でこのような口上が繰り広げられていたと考えられます。

庶民のメディア・錦絵と広告
木版多色摺りの錦絵は、庶民にも手の届く値段で売られていたことから、大衆美術として江戸の町を中心に広まりました。錦絵は、現在の出版社にあたる「版元」が発行し、名所や美人、歌舞伎役者などを題材にしたものが人気を博しました。中には、大量に発行される錦絵の宣伝効果を意識してか、大店の店頭風景や商品名などが描きこまれたものもあり、錦絵は当時の有力な広告メディアであったといえるでしょう。
錦絵「駿河町越後屋(店頭美人図)」国貞・画

呉服商の越後屋(現在の三越の前身)は、日本橋駿河町(現・日本橋室町)に大店を構え、江戸名所のひとつとしてしばしば錦絵に登場しました。この錦絵には、3人の美人の背後に正月で賑わう越後屋の店頭風景が描かれ、立派な看板や暖簾、門松を見ることができます。正月の配り物として、顧客に配られたのかもしれません。
 

江戸の名コピーライター「戯作者」
江戸時代の人々の高い識字率を背景に、江戸後期には大衆向けの出版文化が花開きました。中でも庶民に人気があったのは娯楽性の高い読み物の草双紙、とりわけ戯作者と呼ばれた作家が手がけた大人向けの黄表紙本でした。戯作者の中には、式亭三馬、山東京伝などは、自らも薬や化粧品、煙草用具などを売る店を経営し、文才を生かした軽妙やアイディアでユニークな宣伝活動を繰り広げていました。
  式亭三馬店の図 草双紙 『女房気質異赤縄』より

これは式亭三馬が自分の執筆した草双紙に、息子の小三馬と日本橋本町で営んでいた薬と化粧品店の店頭風景を掲載したものです。式亭正舗という暖簾や「金勢丸」、「江戸の水」などの商品名の入った看板とともに、”馬”の文字をデザインした三馬のマークも軒下の左に見られます。

”どこにでも面を出す仙女香”
大衆メディアとして人気のあった錦絵や草双紙には、有名な大店だけではなく商品名なども見られます。特に、人々に人気のあった粉白粉の「仙女香」は、様々な機会を捉えてさりげなく登場するので有名でした。「仙女香」という文字の多くは、鳥居や関札などの目立たない部分に書き込まれていましたが、宣伝効果を狙っていたことは確かでしょう。この「仙女香」という名前は、当時、歌舞伎の名女形であった三代瀬川菊之丞の俳号「仙女」にちなんで名づけられものです。
  錦絵「東海道五十三次之内・関」

広重の出世作とも言われているシリーズ『東海道五十三次』の中の一枚です。亀山から鈴鹿峠へと向かう街道のふもとにある宿場・関の本陣(大名が泊まる宿)から、大名の一行があわただしく出立する様子が描かれています。玄関に下がっている札は、本来は大名の名が記されているものですが、ここでは「仙女香」「美艶香」と商品名が書かれています。
江戸時代は広告の宝庫だった 広告にエポックを切り開いた人々
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